信念のもとに

 昔の商人は“店是とのれん”というものを、ずいぶん大事にした。ときには、自分の生命よりもこれを大事にした。伝来の店是とのれんを守ることに、商人としての生命をかけて、これに強い信念を置き、誇りを感じていたのである。そのことのよしあしは別として、“武士道とは死ぬことと見つけたり”といったあの葉隠武士の信念に一脈相通ずるようなものがある。そしてそこに土性骨といわれるものの源泉があったのである。
 時代は変わった。人の考えも変わった。しかし信念に生きることの尊さには、すこしも変わりはない。いや今日ほど、事をなす上において信念を持つことの尊さが痛感されるときはない。為政者に信念がなければ国はつぶれる。経営者に信念がなければ事業はつぶれる。そして店主に信念がなければ店はつぶれる。誇りを失い、フラフラしているときではない。
 正しい国是を定め、誇りある社是を定め、力強い店是をきめて、強い信念のもとに、自他ともに確固たる歩みをすすめたい。そこから国家の、事業の、お店の、そしておたがい個々人の真の繁栄が生み出されてくると思うのである。

(松下幸之助 「道をひらく」 pp.252-253 PHP研究所 1968)
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k_sone

Author:k_sone
東北学院大学体育会アメリカンフットボール部Kayaks(カヤックス)の元監督。部員数が激減して廃部寸前にまで陥ったチームを立て直し、東北学生1部リーグに昇格させた。2011年5月、監督を辞任。

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