対弘前大学戦(詳報)

前日の昼頃から降り出した雨がまだ降り続く中、弘前大学スターキングのキックオフで入れ替え戦は始まった。

Kayaks最初のオフェンスはまずまずの好リターンにより自陣30ヤード付近から。
ゲームプランどおり、まずはSEサイドを攻めたがブロックミスでなかなか前進できない。3プレー目で弘大戦用に特別に準備したオプションプレーをコールして大きく前進し、続くパスプレーでは思うように前進できなかったが、これまた特別に準備した別のTEサイドを攻めるオプションプレーでロングゲイン。プレーアクションパスと中央のダイブプレーでさらに敵陣深く前進し、最後はゴールライン用に準備したオプションプレーで見事タッチダウン。トライフォーポイントのキックも成功し、Kayaksはこの日のために準備したプレーを次々と成功させて7-0と先制した。

弘大の最初のオフェンスシリーズはスカウティングで予想したとおりの展開。Kayaksディフェンスは1度ファーストダウンを更新されるが、素早いパシュートでその後の攻撃を断ち切り、パントに追い込んだ。Kayaksリターナーがパントボールの処理に手こずってヒヤッとする場面もあったが、落ち着いて処理し、無事に攻撃権を得た。

Kayaksオフェンスはこの第2シリーズをパワープレーから入ったが、弘大ディフェンスはDLのスラントを多用し始め、若いオフェンスラインの多いKayaksがこれに対応できず全くゲインできない。そこで私は、最初のシリーズで成功したTEサイドへのオプションプレーをコールしたが、クォーターバックがキーを読み間違えてロングゲインにはつながらず、かろうじてファーストダウンを獲得できたものの、続くプレーでパスを失敗してパントを蹴り、攻撃権を弘大に譲り渡した。

弘大オフェンスはKayaksディフェンスのコンテインが甘くなるところを見抜いてゲインを重ねたが、フレアーコントロールされかけたところでKayaksはパスインターセプトのビッグプレー! すぐに攻撃権を奪い返した。

ここが攻め時!ということで、弘大戦用に準備したTEサイドへのオプションプレーを再度試みるが、またもやクォーターバックがキーを読み誤ってノーゲイン。積極的にプレーしてのオプションキーの読み違いはある程度想定内だが、消極的な場合の誤りはゲームプランを大きく狂わす。最初のシリーズのオプションは素晴らしい出来だったので、クォーターバックにその時の感覚が戻ることを祈るしかないが、その後のプレーの組み立てが難しくなってしまったことに変わりはない。オプションプレーに取り組んで4年目のKayaksだが、やはりオプションは難しい。

第2クォーターに入って弘大オフェンスは勢いを増し、オープンプレーでゲインを重ねてKayaksディフェンスが押し戻されかけた時、再びKayaksディフェンスがパスインターセプトのビッグプレー! ランプレーではオープンコンテインの甘さが目立ったが、この日のKayaksのパスディフェンスは完璧と言っても良いほどの出来だった。

せっかく得たターンオーバーによるチャンスだったが、Kayaksオフェンスはラインメンが相手をブロックしきれず、ファーストダウンすら奪うことができない。第4ダウンでフィールドゴールによる追加点を狙うも、雨で濡れた芝にキッカーが軸足を滑らせて失敗。不運でもあったが、自滅としか言いようが無いお粗末な展開だった。この日のオフェンスラインは、最初のシリーズこそ良く前に出て力強いブロックを見せてくれたが、第2シリーズからは左右に動く弘大のディフェンスラインに翻弄され、あれほど「相手が動く前に速く当たれ」と指示していたにも関わらず、その場で足踏みするようなステップで相手を縦に押し込もうとしない。所詮付け焼刃ではダメということで、春先からそうしたファンダメンタルをしっかり練習しなければならないという当たり前の反省を得たということだけが、この入れ替え戦での収穫か?!

その後、この日3回目となるパスインターセプトでKayaksは攻撃権を獲得し、ロングパスを成功させて敵陣深く攻め入ったが、オフェンスラインがここでも体を入れに行くお粗末なブロックを披露し、ゴールまで残り僅か3ヤードの距離を前進することができず、追加点を奪うチャンスを自ら放棄した。

後半はKayaksのキックオフで試合再開。
開始早々、前半からゲインされ続けていたショットガンからのハンドオフプレーでKayaksディフェンスは見る見る後退。本来であればハーフタイムに修正すべきポイントだったが、どうやら見逃してしまっていたようで、あっさりと自陣深く攻め入れられ、最後は第4ダウンギャンブルでロングパスを決められタッチダウン。トライフォーポイントのキックも成功して7-7の同点とされてしまった。地力の差とでも言おうか、とにかく弘大のボールキャリアは倒れない。速くはないが当たりが強く、粘りがある。気持ちが強いということか。

奮起して勢いを取り戻したいKayaksオフェンスは、最初のブラストプレーで大きくゲインしたが、続くプレーがアサイメントミス、続けてエクスチェンジミスでボールを失い、パントで陣地を挽回することすらできずに攻撃権を弘大に譲り渡してしまった。

モメンタムが大きく弘大に傾くピンチを迎えたKayaksだったが、ディフェンスが踏ん張り、さらに弘大がパントの際にスナップミスで大きく後退してくれたお陰でエクスチェンジミスによるターンオーバーも帳消し…かと思われたが、縦に踏み込まないKayaksのオフェンスラインのブロックでは、ランニングバックがいかに孤軍奮闘しようともゲインできるはずがない。結局ここはパントを蹴ることになった訳だが、パントチームが素晴らしい働きをしてくれた。パンターが敵陣ゴール前に絶妙のパントを転がし、カバーチームが敵陣1ヤード以内でボールを押さえたのだ!

弘大は、常に好ゲインを続けていたショットガンからのハンドオフプレーをファーストプレーに選択したが、Kayaksディフェンスが一発でこれを仕留め、しかも敵陣エンドゾーン内ということでセーフティとなり、自滅を続けるオフェンスに代わってディフェンスチームが待望の追加点を獲得、9-7として再び試合をリードすることができた。今シーズンは、リーグ戦でもディフェンスチームは得点しており、Kayaksのディフェンスチームは本当に強い。これでもう少しファンダメンタルを鍛え上げることができれば、1部リーグでもそこそこの働きをしてくれるかもしれない。

セーフティ後の試合再開はKayaksのキックオフリターンから。
Kayaksは、2部リーグではほとんど失点しなかったので、なかなかキックオフリターンをする場面が無かったが、練習はかなりしっかりやってきた。ここで、ようやくその練習の成果を発揮でき、リターナーが素晴らしい走りを見せてくれた。続くオフェンスも、この日最初のシリーズと同様の高い集中力と気迫を持って力強いゲインを続けたが、どこかほんの少し歯車が噛み合わない。敵陣7ヤードほどまで攻め込みながら、またも追加点を上げることができなかった。おそらく、フィールドゴールを蹴っていれば3点は確実に追加できただろうが、5点差では1タッチダウンで逆転されてしまうと考え、タッチダウンを狙いにいってしまった。5点差ならフィールドールでは逆転されないと考えて、着実に点差を広げるべきだったかもしれない。

第4クォーターに入り、Kayaksはパントで相手を敵陣深くに留まらせて有利に戦いを進め、オフェンスもそれなりに息を吹き返してゲインしたがやはり得点できず、動きの無いまま試合は終盤へと進んでいった。

そして弘前大学のラストシリーズ。
パスの成功率が低かったのはクォーターバックが本職でないので仕方ないとして、ショットガンからのハンドオフプレーとクォーターバックのキープでグラウンド狭しと走りまくり、Kayaksディフェンスはこれをオープンコンテインすることができずに大きくゲインを許す。怒涛の攻撃が続き、試合の残り時間が少なくなるにつれ、勝利へのカウントダウンというよりも、むしろ昨年の入れ替え戦の悲劇が脳裏を過ぎり、誰もが祈るような気持ちでグラウンドを見守っていた。

試合終了まで残り2秒。
ラストプレーだ。
弘前大学は当然のことながらパスプレーを選択。昨年とは違ってミドルレンジに投げられたパスは弘前大学のレシーバーが捕球することなく、静かにグラウンドを転がった。

試合終了。

Kayaks 9-7 StarKing。

昨年の入れ替え戦のリベンジゲームを制し、東北学院大学体育会アメリカンフットボール部Kayaksは、悲願の1部昇格を決めた!

2010年11月23日 Kayaks 9-7 StarKing


DVDで試合の経過を振り返りながら、遠方にいて観戦できなかったKayaks OB/OG、部員のご家族、Kayaksファンのために遅ればせながら詳しい試合経過を書いてみた。
改めて振り返ると、いかにKayaksの選手たちがファンダメンタルを疎かにしているかが分かり、残念でならない。どんなスタイルでプレーするにせよ、フットボールにおけるファンダメンタルに違いは無いはず。基礎体力をさらに強化するのはもちろん、基本的な技術や役割分担についてきっちりと鍛え直さなければならないようだ。

弘前大学スターキングの選手たちは、さすがに1部リーグでシーズンを過ごしてきただけのことはある。当たりの強さや前に出ようとする意識はKayaksのそれを遥かに上回る。しかし、少ない選手数では練習メニューも限られてくるし、負傷した場合の対処が難しい。観客からは「少ない人数でよく頑張った」という声も聞こえたが、そんなの何の言い訳にもならないことは、選手不足でリーグ戦を3シーズンも棄権したことがある私はよく知っている。リクルートに必死に取り組んで選手数を増やし、再び強さを取り戻して欲しいと思う。
それと、他大学の選手に対して言うのは失礼かも知れないが、弘大の選手は審判に対するアピールが多すぎる気がした。ジャッジは審判に任せ、自分たちはプレーに集中するべきなのでは? 「人の振り見て我が振り直せ」、Kayaksの選手たちも、この点は十分気を付け、プレーボイスや自分たちを鼓舞するボイス以外、例えば、審判に対する反則のアピールや相手を挑発するような言葉は決して発してはならない。

勝って浮かれて良い時間はもう過ぎ去った。事実上の幹部交代も終わり、新チームで2011年シーズンを1部リーグで迎える準備を始めなければならない。頑張ろう、新Kayaks!
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プロフィール

k_sone

Author:k_sone
東北学院大学体育会アメリカンフットボール部Kayaks(カヤックス)の元監督。部員数が激減して廃部寸前にまで陥ったチームを立て直し、東北学生1部リーグに昇格させた。2011年5月、監督を辞任。

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