より一層礼を尽くして

KayaksのOB/OG会副会長で、今年のリーグ戦の主会場となっている宮城自転車競技場の使用許可を得るのにご尽力いただいている高橋公晴先輩から厳しいご指摘をいただいた。

それは、グラウンド使用に対してKayaksの部員たちに礼儀が感じられないというもの。昨夜、電話でご指導いただき、また本日、Kayaksの掲示板に部員宛に書き込まれていた。これは大きな大きな問題である。

私たち学生スポーツを指導する者は、と言うと偉そうになってしまうのでそれは取り下げ、少なくとも私は、アメリカンフットボールという競技の指導を通じて、18歳から20代前半の若者たちに礼儀や忍耐、困難なことに立ち向かう勇気、自分が所属する組織に対する忠誠心や誇り、そして物事を具体的に考え、正しく判断することなどを教えていきたい、経験させてあげたいと思っていて、それが学生スポーツの指導者として最も重要な役割のひとつだと思っている。

つまり、試合に勝ったかどうかよりも大事なことがあるということ。

もちろん、競技スポーツであるからには試合に勝つことが重要である。勝たなければ分からないことは、確かにある。しかし、負けなければ分からないこともやはり確かにあって、勝負とは、勝ったり負けたりしなければならないもので、勝ちっぱなしも負けっぱなしもダメなのだと思う。

さて、私はアメリカンフットボールを指導するにあたり、常々「アメリカンフットボール道」を教えていると思っている。剣道や柔道の「道(どう)」である。私は高校時代に授業で柔道をしただけで本格的な経験がなく、実際に剣道や柔道をされている方に「アメリカンフットボール道」などと言ったら叱られてしまうかもしれないが、この言葉を20数年前に恩師から教わって以来、私自身は誇りを持って「アメリカンフットボール道」を教えているつもりでいる。

「道(どう)」が付いたからって何が違うの?と言われれば、その答えは先に述べたとおり、競技の指導を通じて礼儀や忍耐云々を教えるということ。ただ単に競技の技術や理論を教えて勝てば良いというものではない。

日頃そうしたことを考えながら指導しているつもりなのに、今回、グラウンド使用に対してKayaksの部員たちに礼儀が感じられないという指摘を受けてしまった。改めて、自分の指導力の無さを痛感した次第である。

Kayaksの部員たちは、10年ほど前からグラウンドに入退場する際、それがどこのグラウンドであっても、必ず一礼してから入退場する。また、私も現役時代に行っていたが、練習の開始・終了にあたってはグラウンドに向かって整列し(グラウンドに向かうようになったのは10年ほど前)、黙想して心を落ち着け、先輩やコーチングスタッフの言葉に耳を傾ける。私たちは自分たちだけの力でフットボールができる訳ではない。クラブを発足させ、今日までその歴史を積み重ねてきてくれた先輩方や、活動に理解・協力をいただいている大学関係者、学連関係者、他大学の方々や家族の支えがあって初めてフットボールができるのである。グラウンドだって大学から借りている。ラグビー部やラクロス部と共同で使用している。みんな少しでも長く練習したいが、お互い譲り合って練習している。私たちは、多くの方々に支えられて大好きなフットボールをさせていただいているのである。だから、人だけでなく、物にだって礼儀を尽くす。

宮城自転車競技場は、思うに競輪選手たちにとっては「聖地」であろう。付帯設備が老朽化し、正式な競技には使われなくなったのかもしれないが、私たちKayaksが泉キャンパスのグラウンドを特別な場所と認識しているのと同じように、彼ら競輪選手たちにとっては、いまだ宮城自転車競技場は「聖地」に違いない。その「聖地」を使わせていただく以上、そこに敬意を払い、礼儀をもって使わせていただくのは当然のことなのである。

私は部員たちに、通路として敷かれた人工芝の上以外を歩いてトラック(自転車競技のコース)を渡ることを厳しく禁じている。
タオル一枚でも、トラックの上に置くことを禁じている。
本来、部員ひとりひとりが自ら判断すべきことで、私たち指導者や主将・主務がいちいち細かく言うことではないが、自転車競技場に関しては特殊な施設・設備が多いため、他で行う場合よりも細かく指導した。

自転車競技場のトラックは競輪選手たちの聖なる領域であり、私たちが文字どおり土足で踏み込んで良い場所では絶対にないのだ。
それに、トラックに僅かでも傷が付けば、あの競輪用自転車の細いタイヤがはまり込んで、大きな事故につながることもあるだろう。スポーツに関わっている者であれば、それぐらいちょっと考えれば容易に想像がつく。そうしたことを配慮できないようでは、競技スポーツに関わる資格は無い。自分勝手な行動しかできない者は、例え試合に勝っても勝者を名乗る資格は無いのだ。

今シーズン、Kayaksは残り2試合を宮城自転車競技場で戦う。入れ替え戦に出場できれば3試合だ。もちろん、宮城自転車競技場に限ったことではないが、より一層礼を尽くして、その上で勝利を目指して頑張っていきたい。

関連記事 東北初のアメフト専用競技場…建設に向け始動 2010年3月8日(月)

[2010/9/14 17:10 追記]
東北大学ホーネッツのHORNETS DIARYにもこの件についてコメントが寄せられていました。ご参照ください。
2010年9月12日 仙台大戦試合結果 (東北大学ホーネッツ公式サイト HORNETS DIARY)


高橋公晴先輩がお書きになった掲示板の内容は、以下に掲載しております。

宮城自転車競技場使用注意 - 5期 高橋
2010/09/14 (Tue) 08:52:42

曽根監督には話してが、宮城自転車競技場のグランド使用許可のお願いに行った際、教えてもらった事が、競技場建設当たって自転車競技協会より多額の寄付があって建設した経緯を、競輪選手会の方より聞きました。
その時、さすがにグランドの使用は無理かなと思ったが、アメリカンフットボールの普及の為であればと、ご好意で貸してもらえる事になりました。

その際、自分は
『礼節をもって使用させて頂きます』
とだけ約束して来ました。

しかし今期はKAYAKSも昨シーズン使用した時の様なフィールドに対する礼儀が感じられません。今一度礼節を意識するよう心がけるように
特に今シーズンは毎週末アメリカンフットボールで使用し、プロの自転車競技者には平日の練習しか出来ずに、快く無く思っている方もいるのではと危惧しています。
ここに至るまで多くの方々の尽力により、2部試合まで全試合芝のフィールドでゲームすることが出来るようになりました。
その方々のご好意に礼節を持ってお返しし、来年再来年と後輩達がこのグランドでプレー出来るよう、そして35周年記念式典で言ったように東北のフットボールの発展は『KAYAKSの復活』に掛かってことを、再度胸に刻み今シーズン戦うよう期待しています

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k_sone

Author:k_sone
東北学院大学体育会アメリカンフットボール部Kayaks(カヤックス)の元監督。部員数が激減して廃部寸前にまで陥ったチームを立て直し、東北学生1部リーグに昇格させた。2011年5月、監督を辞任。

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