自然とともに

春になれば花が咲き、秋になれば葉は枯れる。草も木も野菜も果物も、芽を出すときには芽を出し、実のなるときには実をむすぶ。枯れるべきときには枯れてゆく。自然に従った素直な態度である。
そこには何の私心もなく、何の野心もない。無心である。虚心である。だから自然は美しく、秩序正しい。
困ったことに、人間はこうはいかない。素直になれないし、虚心になれない。ともすれば野心が起こり、私心に走る。だから人々は落ち着きを失い、自然の理を見失う。そして出処を誤り、進退を誤る。秩序も乱れる。
時節はずれに花が咲けば、これを狂い咲きという。出処を誤ったからである。それでも花ならばまだ珍しくてよいけれど、人間では処置がない。花ならば狂い咲きですまされもするが、進退を誤った人間は、笑っただけですまされそうにもない。自分も傷つき、人にも迷惑をかけるからである。
人間にとって、出処進退その時を誤らぬことほどむつかしいものはない。それだけに、ときには花をながめ、野草を手に取って、静かに自然の理を案じ、己の身の処し方を考えてみたいものである。
(松下幸之助 「道をひらく」 pp.18-19 PHP研究所 1968)

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k_sone

Author:k_sone
東北学院大学体育会アメリカンフットボール部Kayaks(カヤックス)の元監督。部員数が激減して廃部寸前にまで陥ったチームを立て直し、東北学生1部リーグに昇格させた。2011年5月、監督を辞任。

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