日本代表対ノートルダム・レジェンズ戦

7月25日(土)に東京ドームで行われた日本アメリカンフットボール75周年記念事業「ノートルダム・ジャパン・ボウル2009」日本代表対ノートルダム・レジェンズ戦をビデオ観戦した。

試合はノートルダム・レジェンズのキックオフで始まった。
日本代表は35ヤード付近までリターンして最初のオフェンスプレー。しかし初っぱなから日本はメンバー交替が上手くいかなかったのか、いきなりタイムアウト。
仕切り直しのファーストプレーはショットガンからQB高田のスクランブルで8ヤードほどゲイン。セカンドプレーはハンドオフして右オープンを走ってファーストダウンを更新した。日本オフェンスは順調な滑り出しに見えたが、それよりもノートルダムディフェンスの集まりの速さ、タックルの厳しさが目立った。
その後も日本はランとパスをバランス良く織り交ぜてゲインを続けるが、ミドル~ロングパスが決まらない。そして敵陣20ヤード付近での第4ダウンギャンブル、日本はハンドオフプレーをノートルダムディフェンスのキッチリと止められてしまう。
攻守交替。
ノートルダムのファーストプレーはオーソドックスなプロIからTBへのハンドオフ。セカンドプレーはそのプレーのフェイクからリバースプレーを試みるが、日本ディフェンスはこれを見事なロスタックルで止めた。第3ダウンのショットガンからのスクリーンパスも日本ディフェンスの好守に阻まれてノートルダムはダウン更新ならず、パントで攻撃権を日本に譲渡した。

ノートルダムのミスパントで自陣48ヤード付近から始まった日本オフェンスは再び順調にゲインを重ね、敵陣20ヤード付近まで攻め込むが、好プレーを繰り返していたWR秋山が痛恨のキャッチミスで第4ダウンとなり、日本はフィールドゴールを選択してこれを成功。3-0とノートルダム・レジェンズから先制点を奪った。

ノートルダムは続くオフェンスで41歳のQBトニー・ライスを投入。
ファーストプレーはプロIからのピッチスイープ。その後ショットガンからのランやショベルパスなどを試みるがなかなかゲインできず、このシリーズもノートルダムはパントを蹴る。

ノートルダムの好パントで自陣8ヤード付近からの攻撃となった日本は、第2クォーター開始直後の第2ダウンでロングパスをインターセプトされて攻守交替。自陣41ヤード付近でノートルダムに攻撃権を与えてしまった。
ノートルダムオフェンスはファーストプレーこそQBランでゲインしたものの後が続かず、それでもこのシリーズは37ヤードのフィールドゴールを成功させて、3-3の同点とした。

ここまで日本が優勢に試合を展開してきた印象だったが、徐々にノートルダムディフェンスのプレッシャーが強くなり、日本の勢いもやや失速気味。
しかし、ノートルダム・レジェンズも急造チーム。単純なプレーミスやパスキャッチミスも少なくなく、全米一になった時のQBとは言え、トニー・ライスが41歳であることに変わりはない。現役バリバリの日本代表チームに比べると準備不足はもちろん否めず、輝かしい経歴も霞んでしまうかと思われた…
が、次の瞬間、41歳のQBからハンドオフを受けた31歳のTBが80ヤードほどを独走! 一気に日本陣4ヤードまで攻め込み、最後は41歳の(しつこい?笑)QBがスニークを2回続け、ついにタッチダウン! キックも決めて、3-10とノートルダムが逆転した。

このあと、日本オフェンスはノートルダムのサイズとスピードに圧倒されて思うようにゲインできなくなり、日本ディフェンスはノートルダムの圧力にペナルティを犯し、負傷者が目立ち始める。最後はノートルダムオフェンスが時間を潰して、3-10のまま前半を終了した。

後半は日本代表のキックオフで試合再開。
ノートルダムは好リターンで自陣35ヤードからの攻撃。
第1ダウンのプレーでいきなり再び独走か!と思われたが、これはノートルダムにホールディングの反則があって逆に罰退。その後ノートルダムはパントを蹴るが、これがまた絶妙のパント。日本は自陣1ヤードからの後半最初の攻撃となった。

日本はQBを菅原に交代。
自陣ゴールエリア内で果敢にショットガンダンスを踊っていたが、第2ダウンで中央からの激しいラッシュに捕まってセーフティを献上。3-12とノートルダムが点差を広げた。

このあとのノートルダムの攻撃を凌いだ日本は、ショットガンからランとパスを織り交ぜ、QB菅原の好パスもあってゲインしたが、テンポ良く進み始めたショットガンを止めてエクスチェンジのプレーでミスをするなど、なぜ?というようなプレーを選択。その後のフィールドゴールも失敗して、日本はなかなか点差を縮めることができない。

ノートルダムは荒々しいほどの個人技で「高齢」RBがゲインするが、好プレーが連続せず、こちらも40ヤード超のフィールドゴールを失敗。第3クォーター中盤以降、両チームとも疲労の蓄積もあってか、試合は膠着状態に陥ったように見えた。

しかし、攻守交替となった直後のプレーで、試合開始直後から目立って活躍していたノートルダムLBグールスビーがパスをインターセプト! 32ヤードの好リターンで一気に敵陣8ヤードまで進んでオフェンスチームにボールを引き継ぎ、ノートルダムはゲームの流れをこれで引き寄せた。

当たり前のようにラインメンをずらりと並べたノートルダムは、中央突破をして見せたあと、左にオプションピッチ。最後はボールキャリアがサイドラインの外に押し出される一瞬前にボールを持った腕を伸ばしてタッチダウン。キックも成功で3-19とノートルダムはさらに点差を広げた。

このトライフォーポイントのキックの時、「事件」が起こった。
ノートルダムの選手が不正な装備でペナルティを取られ(マウスピースを装着しなかった?)、それを聞いたルー・ホルツが激怒! 被っていた帽子を取り去って、フィールドに向かってもの凄い形相で怒鳴っていた。
おぉー!これぞルー・ホルツ!憧れの名将!!
東京ドームの観客も一気に盛り上がったようだ。

日本は再びQBを高田に交替。試合は第4クォーターに入った。
日本オフェンスはミドルレンジのパスを成功させ、相手のホースカラータックルの罰退もあって敵陣20ヤード付近まで攻め込むことに成功。絶好のタッチダウンチャンスだ。
まずはQBがオプションキープで5ヤードゲイン。
第2ダウンで選手交代が上手くいかずに、試合開始直後同様、日本が痛恨のタイムアウトを取ったあと、ハンドオフフェイクでコフィンコーナーにパスを投げるも失敗。しかし、ノートルダムのラフィングザパッサーがあり、日本は敵陣7ヤード付近で第1ダウンを得た。
日本はここでWR木下をQBのポジションに入れたスペシャルプレーを選択するがフォルススタートで5ヤード罰退。
QBを高田に戻してショベルパスは成功するが、ゲインはできない。
第2ダウンはノートルダムの激しいパスラッシュを受けてパスを外へ投げ捨て、第3ダウンは再び右のコフィンコーナーにパスを投げたが失敗した。
第4ダウン、日本は当然ギャンブルしたがパスを失敗。絶好のタッチダウンチャンスを逃してしまった。

この試合、開始当初から感じていたことだが、日本のボールキャリアはノートルダムのタックラーに足を腕一本引っかけられただけでコケてしまう。おそらく国内のレベルで考えればミスタックルでロングゲインできそうな感じなのだが、ノートルダムの選手たちのパワーというか圧力が物凄いのだろう。フットボールという競技において、いかにフィジカルに強いことが優位であるかを象徴しているかのように思えた。

その後、ノートルダムオフェンスは執拗にパワープレーで時間を潰すが、日本ディフェンスも踏ん張って自陣20ヤード付近で第4ダウンギャンブルをくい止め、残り3分ほどを残して攻撃権を得た。
そして日本は時間をコントロールする外へのパスを3本連続で成功させた後、ラン、パス、そしてスクランブルで前進するが、あと一歩及ばず、第4ダウンギャンブルでQBがサックされ、試合時間を1分ほど残しながら最後まで攻めきることができなかった。

試合結果は3-19。日本は敗れた。
率直な感想。
ノートルダム・レジェンズは3人に1人がプロ経験者らしいが、普段プレーしていないであろうOBの寄せ集めチーム。ミスも多くて決してハイレベルな試合とは言えなかった。
が、しかし!
いや逆に、だからこそ、ノートルダムで体に染み着いたのであろう基本的技術と強い精神力が目立ち、際立っていた。そうした点では見応えのある、素晴らしいゲームだった。

憧れの名将ルー・ホルツの表情や仕草を見ることができて嬉しかったが、テレビの解説がプロフェッサー・ケンだったのも嬉しかった。
その武田建先生のコメントで印象的だったのは、アメリカではブロッカーがいなかったらボールキャリアが自分でブロックして進んで行く、といった内容の話。なるほどフットボールは「ボール」を前進させて得点する競技。「ボールキャリア」を前進させる競技ではない。当たり前のことだが私も誤解していた。ボールキャリアとは、ただボールを運ぶ選手ではなく、ボールに最も近い位置で他の10人と同様にボールを守りながら(=ブロック)、ボールを前進させようとする選手のことだったのだ。

親しい後輩を誘って生で観戦に行く予定だったが、仕事の都合で見に行けず、TVで生中継されたのを知らずにあきらめていたのだが、Kayaks OB審判員ノブ・サトウが録画したビデオを貸してくれたお陰で見ることができた。ありがとう!

  • ノートルダム・ジャパン・ボウル2009 (公式サイト)
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    k_sone

    Author:k_sone
    東北学院大学体育会アメリカンフットボール部Kayaks(カヤックス)の元監督。部員数が激減して廃部寸前にまで陥ったチームを立て直し、東北学生1部リーグに昇格させた。2011年5月、監督を辞任。

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