人事をつくして

 「人事をつくして天命を待つ」ということばがある。まことに味わい深いことばである。私心にとらわれることなく、人としてなしうるかぎりの力をつくして、そのうえで、静かに起こってくる事態を待つ。それは期待どおりのことであるかもしれないし、期待にそむくことであるかもしれない。しかしいずれにしても、それはわが力を越えたものであり、人事をつくしたかぎりにおいては、うろたえず、あわてず、心静かにその事態を迎えねばならない。そのなかからまた次の新しい道がひらけてくるであろう。
 こうした心境の尊さを人みなが知り、その境地をかみしめつつ、それぞれの人が、それぞれのつとめをつくしたならば、この世の中は、もっと静かになるかもしれない。
 天命とは、これだけのことをつくしたから、これだけの結果があたえられるという、そんな計算の成り立つものではない。まして、私心多くなすべき人事もつくさずに、いたずらに都合よき成果のみを期待するのは、天命を知らざることはなはだしいといわねばなるまい。めまぐるしい利害の波の日々の中ではあるけれども、時におたがいに三省してみたいものである。
(松下幸之助著 「道をひらく」 pp.40-41 PHP研究所 1968)


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k_sone

Author:k_sone
東北学院大学体育会アメリカンフットボール部Kayaks(カヤックス)の元監督。部員数が激減して廃部寸前にまで陥ったチームを立て直し、東北学生1部リーグに昇格させた。2011年5月、監督を辞任。

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